5月1日にスタートを切ったNANCiSの設立記念イベントを6月5日、早稲田奉仕園でしました。NANCiS構成団体、賛同団体を中心に約40人が集まり、熱のこもった議論が交わされました。
冒頭、総合司会を務めるNANCiSコーディネーターの加藤さんの開会の辞の後、同じくコーディネーターの西井さんがNANCiSの設立の経緯と団体説明を行いました。続いて、NANCiSと相互協力の協定書を交わした秘密保護法対策弁護団および共謀罪対策弁護団の共同代表である海渡雄一弁護士からお祝いと激励のビデオ・メッセージをいただきました。海渡弁護士は、秘密、共謀罪法といった悪い法律ができてしまったが、市民が委縮して活動を控えるのはよくない。市民が自ら自由を行使することが大事で、市民社会を守っていく為にNANCiSが生まれた。弁護団としてNGOが自由に活動していけるよう支えていきたいと述べました。
続いてNANCiSと秘密保護法対策弁護団および共謀罪対策弁護団との間で協定書の調印がなされました。これを受けて秘密保護法対策弁護団の代表代理として調印を交わした小川隆太郎弁護士、共謀罪対策弁護団の代表代理として調印を交わした三沢弁護士、国内で活動するNPOを代表して大阪から駆けつけてくれた大阪ボランティア協会代表の早瀬昇さんからメッセージをいただきました。小川弁護士は、事件を待つのではなく、こちらかえら積極的に政府に対して市民社会スペースを確保するために必要な法制度を詰め込んでいくことをしたいと語りました。三沢弁護士は、市民社会スペースを守ろうとするNANCiSと同じ思いを抱えながらこれからも活動を共にしていきたいと述べました。早瀬さんはNPOの活動を例に上げ、障害者運動も昔は運動だったが、今は大半が事業者になっている。制度ビジネスに落ち込むといけない。我々市民が主権者になって市民として政策をつくっていくということが弱くなっていると警鐘を鳴らしました。
第2部では、NANCiS共同代表の谷山と新潟国際情報大学の佐々木寛教授がキーノートスピーチを行いました。
まず谷山は市民社会スペースが認知され保証されてきた国際的な議論を辿ったあと、数々の国際会議での宣言にかかわらず世界と日本の現状は市民の自由な活動が規制されたり抑圧されている現状を示しました。またこの世界的な傾向の背景についても説明が加えられました。最後に一番大事なことは、NGOだけではなく、弁護団や多様なアクターの人たちと連携をしてこの市民社会スペースを守り監視し、何かあったらば動くのだということを周知することで、それによって規制や弾圧を牽制することができますと強調しました。
続いて佐々木教授は日本の市民社会にとって歴史的な日だとNANCiSの設立にエールを送ったあと、第二次大戦後の世界の市民社会の変遷を概観しました。60年代の自由と民主主義を守る主体としての市民社会、1980年代後半東ヨーロッパで社会防衛委員会が作られた経緯に徴しての社会を国家から防衛する市民社会という考え方。1990年代のビジネスをする自由、消費をする自由社会という意味での市民社会。そして今、社会を国家(権力)から防衛するだけではなく、オルタネイティブな社会を具体的に法律とか制度とかを打ち立てて打って出るという点に新しい意味が生まれているとしました。続いて、現在の世界的な問題として権威主義の蔓延があるといいます。その背景として地球的問題群はどんどん拡大して手に負えなくなってきており、その中で競争をし、自分だけ生き残らなければならないという論理が無間地獄のようにスパイラルしている状況を語ります。そんな中で市民社会スペースを再生させる意味は分断された個々人を繋げたり、コミュニティを作り直すことが必要だとし、分断されている人たち、特に若い人たちを私たちは繋ぎなおさなければならないと結びました。
第3部ではキーノートスピーチを受けてフロアーとの活発なディスカッションがかわされました。
・市民社会スペースを国際的な文脈の中でどのように理解をしていくか?広めていくのか?
・日本では、NPOや市民との間に如何にこの問題を広めていくかという場合に市民社会スペースという言葉を大上段に掲げてのアプローチは難しい。どのように共通の理解をされるアプローチができるかがポイントである。
・私たちも整理が必要と認識しているが、NGOとその他のCSOを活動においてメリハリをつけて活動をしていくのか?NGOもボーダーがないように広がりがある。NGOという構成メンバーだけの活動もあれば、より広い対象を扱う必要がある問題もある。これらの点が、大事なポイントして再認識された
・市民という意識がない人が多い中でどのように伝えるのか?やっていくのかは工夫が必要である。
・市民社会スペースについてどのように表現するのかが問題。
・佐々木先生は、市民社会スペースという言葉を定着させた方が早いという意見を述べていた。
谷山:これらの点は、NANCiSだけではなく、CSOにとって大事な論点である。CSOと政治という論点であり、政治的であらざるを得ないという。政治を市民の手に取り戻すというアプローチは重要
最後に加藤さんから賛同の呼びかけ