(2021.12.12更新)
このたび、2020年2月にNANCiSが開催した「SDGsゴール16と国際協力NGO」研究会の報告書が完成しました。
SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」達成に向けた国際協力NGOの活動実態を「市民社会スペース(Civic Space)」の観点から明らかにし、日本国内外で発生している市民社会スペースへの脅威の実例や対応策を共有することで、NANCiS関係者の理解を促進するとともに、今後の活動案についても活発な意見交換が交わされました。
本報告書が、市民社会スペースの課題に関心を寄せるすべての人・組織にとって役立つものとなることを願っています。
「SDGsゴール16と国際協力NGO」研究会 報告書
編 集:堀内 葵
発行者:市民社会スペースNGOアクションネットワーク(NANCiS)
発行日:2021年10月31日
*本研究会は、青山学院大学総合研究所の2019年度SDGs関連研究補助制度から助成いただきました。
<目 次>
※報告名にリンクがあるところは、クリックいただくと研究会当日資料をご覧いただくことができます(PDFファイル)。
はじめに
八木 巌(NANCiS共同代表)
研究会実施概要
研究会総括報告
高橋 良輔(青山学院大学地球社会共生学部 教授)
テーマA 「市民社会スペースの危機とはなにか――実態分析」
研究趣旨:SDGs16&17と市民社会スペース
高橋 良輔(青山学院大学地球社会共生学部 教授)
問題提起:グローバル社会と市民社会スペースの危機
谷山 博史(日本国際ボランティアセンター 理事)
加藤 良太(NANCiS コーディネーター)
小泉 雅弘(さっぽろ自由学校「遊」 事務局長)
西井 和裕(NANCiS コーディネーター)
テーマB 「市民社会スペースをめぐる国際動向――課題分析」
高柳 彰夫(フェリス女学院大学国際交流学部 教授)
堀内 葵(国際協力NGOセンター アドボカシー・コーディネーター)
テーマC 「SDGs16&17達成に向けたネットワーク形成の成果と課題」
報告6:これまでのNANCiSの取組み―ネットワーク形成と社会的発信
小俣 典之(横浜NGOネットワーク エグゼクティブ・プロデューサー)
総括協議:SDGs16&17達成に向けたネットワーク形成の成果と課題および今後の戦略策定
今後のNANCiS活動案
<以下、「はじめに」より転載>
市民社会スペースNGOアクションネットワーク(NANCiS)は、2018年5月1日に設立されました。市民が自由に言論や活動を展開できる社会の領域である「市民社会スペース」に関する国内外の課題に対応することを目的とし、全国の国際協力NGOのネットワークを構成団体、個別のNGOを賛同団体とする組織です。
構成団体の一つであるNGO福岡ネットワークからの世話人であり、NANCiS設立以来の共同代表の一人であった高橋良輔さん(青山学院大学地球社会共生学部教授)が、2021年3月5日に逝去されました。それは、私たちには大きな悲しみであり、運動上のとても大きな痛手でした。私たちにとっていかに大きな存在であったかは、今にして痛感されます。
NANCiS設立当初の私たちの課題の一つは、国内外の市民社会スペースの現状把握と、それに基づく今後の課題を明確化することでした。この課題を掘り下げ、まとめるための作業を、高橋さんは当時体調がすぐれないなかであるにもかかわらず、取り組んでくださりました。そして、青山学院大学総合研究所のSDGs関連研究補助制度から助成をいただき、2020年2月に本研究会を開催することになりました。以下がその研究成果となります。
本研究会の開催後、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界を覆い、多くの人命が失われ、医療や教育、雇用をはじめとする社会のあらゆる部分が影響を受けました。感染症対策と称して人々の自由が過度に制限されたり、感染症に関する情報統制が行われるなど、市民社会スペースが狭められる場面も世界中で見受けられ、ますます混迷を極める状況が続いています。今となっては叶わぬ活動となりましたが、高橋さんは本研究会の継続テーマとして、「SDGs目標16と市民社会スペースの現在:アフター・コロナ時代のガバナンス強化に向けて」という研究を構想しておられました。市民社会スペースを守り、広げていくためのNGOとして、私たちに多くの課題とヒントを残してくださいました。
このような形で本研究会の成果をまとめることができたのは、青山学院大学総合研究所のご支援の賜物と深く感謝をいたします。また、これが高橋さんの最後のお仕事の一つとなりました。改めて高橋良輔さんのご冥福をお祈りします。
2021年10月
市民社会スペースNGOアクションネットワーク(NANCiS)
共同代表 八木 巌