(2025.7.10更新)
NANCiSは、市民社会スペースに関わるSDGsの目標として、従来から目標16(平和と公正をすべての人に)を重視してきました。目標16は日本語で付けられた先述のキャッチコピーよりも幅広い内容が含まれ、あらゆる暴力の廃絶、法の支配と司法への公正なアクセス、参加型意思決定や情報公開の実現など、平和・公正・民主的な社会に向けたガバナンスを実現するための包括的な目標であるといえます。
SDGs目標16について、国際社会はさらに進んで「SDGs16+」という考え方に至っています。このSDGs16+に関して、世界の市民社会は2019年5月に「SDG16+に関するローマ市民社会宣言」を発表し、2021年、2024年と更新を続け、このたび2025年版が発表されました。
●A Compass for Navigating through the Geopolitical Storm 2025 – Rome Civil Society Declaration on SDG16+
https://tapnetwork2030.org/wp-content/uploads/2025/05/2025-Rome-Civil-Society-Declaration-on-SDG16.pdf
https://tapnetwork2030.org/romedeclaration/
NANCiSは2021年宣言に賛同しており、世話人会で検討した結果、2025年版の宣言にも賛同することにいたしましたので、お知らせいたします。
●SDGs16+に関する2021年ローマ市民社会宣言に賛同しました(2021.9.6更新)
https://nancis.org/2021/09/06/2021-rome-csd-on-sdgs16plus/
2025年版では、経済的先進国が援助や市民社会組織への支援から軍事費へと資金の比重を移そうとする中で、平和的なグローバル・ガバナンスを育む価値観と原則を堅持することへの確固としたコミットメントを維持するよう求めています。そして、以下の4つのテーマごとに詳細な提言を発表しています。
1)紛争から協力へ:平和、正義、開発に向けた世界の優先事項の方向転換
2)SDG16+のための触媒的資金調達の実現と、破綻した世界金融システムの修復
3)市民社会スペースと基本的自由の強化と拡大
4)あらゆる形態の正義の保護と拡大
それぞれの提言項目は以下の通りです。
1)紛争から協力へ:平和、正義、開発に向けた世界の優先事項の方向転換
1. 平和構築、人道支援、開発への資金削減を優先し、世界の軍事費を大幅に削減すること
2. 地域およびコミュニティ主導の平和構築と紛争予防に投資すること
3. 包摂的かつ衡平な和平プロセスを保障すること
4. 法の支配に対する説明責任を果たすこと
2)SDG16+のための触媒的資金調達の実現と、破綻した世界金融システムの修復
1. 地元の組織やコミュニティに届く、柔軟で予測可能な資金調達を優先すること
2. あらゆるレベルにおける資金調達の透明性、説明責任、市民参加を確保すること
3. FfD4において、国際金融構造に対する変革的かつ公正な政策改革を実現すること
4. 人道・開発・平和のネクサスを活用する一方で、それぞれの柱に対する資金提供の完全性を維持すること
3)市民社会スペースと基本的自由の強化と拡大
1. あらゆるレベルにおける市民社会のための環境を保護し、拡大すること
2. 万人にとって意味のある参加を保障すること
3. あらゆるレベルのガバナンスにおける説明責任メカニズムを強化すること
4. 世界レベルでの市民社会の代表と参加を強化すること
4)あらゆる形態の正義の保護と拡大
1. 草の根の正義のイニシアティブへの資金提供を拡大すること
2. コミュニティ・ベースの非公式な司法の仕組みを促進し、支援すること
3. あらゆる形態の正義を中心とした政策立案により、人々を中心とした成果を確保すること
4. 国際司法メカニズムの普遍性と有効性を促進すること
全文の日本語訳を以下にアップロードしておりますので、併せてご参照ください。