【緊急声明】市民の政治的自由・権利を妨げる、あらゆる暴力・弾圧に反対する

2022年7月8日
市民社会スペースNGOアクションネットワーク (NANCiS)

 本日(7月8日)11時半ごろ、奈良市の近鉄西大寺駅前で選挙応援中の安倍晋三・衆議院議員(元内閣総理大臣)が銃撃され、治療のかいなく亡くなられたとの報に接しました。政治活動を暴力で圧殺しようとする行為は、いかなる場合でも認められるものではなく、本件犯行に関わった者に対し強く抗議するとともに、本件犯行の真相が1日も早く明らかにされることを希望します。また、今回の参議院議員選挙では、選挙期間に先立つ5月2日に、街頭活動中の福山哲郎・参議院議員とその秘書が殴られたり、複数の選挙候補者の事務所や掲示物が損傷させられるなど、暴力による被害が相次いでいます。こうした暴力は、狙われた政治家個人の生命や政治活動を脅かすのみならず、暴力による「恐怖」の広がりが、幅広い市民や政治家の政治的自由・権利を脅かし、萎縮・自粛させる効果をもちます。その意味でも、市民社会スペースの擁護・拡充をめざすNANCiSは、市民活動や政治活動に対するあらゆる暴力を容認せず、強く反対するものです。

 また、こうした政治家への暴力を契機に、政府が政治家への警備を強め、市民による政治家へのアクセスや意志表明、対話が制限されたり、市民の言論・表現の自由、集会の自由、結社の自由が制限されたり、政府に批判的な意見をもつ団体への捜査や弾圧の口実にされたりするなど、市民社会スペースが狭められることが、過去の歴史的教訓や国内外の事例からも懸念されます。図らずも、前回2019年の参議院議員選挙では、札幌市で安倍晋三・内閣総理大臣(当時)の街頭演説中にヤジを飛ばした市民2人が、北海道警察によって強制的に排除された事件があり、今年3月に札幌地裁は排除の違法性を認め、慰謝料を支払うよう北海道に命じる判決が出ています。NANCiSは、今回の事件を契機に「政府による市民の政治的自由・権利への規制強化・弾圧」が行われることのないよう、厳しい監視の目を向けていきたいと思います。